代表挨拶

理念

一般社団法人ヤンバアソシエイツ
代表理事 鈴木直喜

なぜ今、フィリピンでのホームステイなのか、その意義と価値を本企画をしたものとして、共有させて頂きます。
私は、現在都内の大学で国際協力・地域計画・NGO論等を教えていますが、1990年の後半より過去15年以上に亘り、多くの院生や大学生と共にフィリピン、タイ、インドネシア等のアジア諸国やかつて青年海外協力隊として赴任していたことのあるアフリカのマラウイでフィールドワークを実施してきました。日々の生活に疲れているように見える学生や、人と話すのが苦手で内気な学生が、村でのホームステイを通して別人のように生き生きすることを多く経験し、今回企画したフィリピン漁農村のホームステイが、老若男女問わず、各自が抱えている問題から少しでも解放され、生活に希望を与える福音になればと期待しています。それは、今までのフィールドワーク参加者の変化からも明らかですが、私の学生時代の経験にも由来します。
私は、「正解」を一方的に教える学校の授業や受験勉強が苦痛でした。しかし、中学や高校時代、その苦痛な環境から飛び出てしまう勇気があるわけでもなく、他の生き方を考える能力もありませんでした。多分、一部の勉強ができる優等生を除き、多くの中高生はそうだったのではないでしょうか。高校や大学の受験のため友達が塾通いをしたり受験勉強している姿を見ながらも、唯一の抵抗としてそのような勉強をせずに過ごした、つらい日々の記憶が残っています。1人で中学・高校時代、伊豆半島や房総半島へと自転車旅行に出かけることでストレスを発散させ、なんとか生き残りました。
かろうじて大学を卒業すると、その後は、青年海外協力隊としてアフリカへ「脱出」しました。そこで初めて受けた自由な雰囲気、教えることや学ぶことの楽しさ、地域住民との楽しい生活は、束縛から解放される体験でした。今、社会の枠に束縛されていると感じる人がいれば、ヤンバアソシエイツ設立の目的はその人のためにあるのです。
今回ホームステイを企画しているフィリピンの田舎ギンスララン村は、気楽に生きている人たちのコミュニティーであることが特徴です。漁をしたり畑仕事から、食べるものを確保し、あとは時間を気にせずに、皆、ゆったりと生活しています。日本に比べれば物質的には裕福ではないかもしれないけれど、子どもたちが賑やかに村中を駆け巡って遊び、大人たちは、漁や畑仕事が終わると、道路沿いにある休憩所に、どこからともなく集まり井戸端会議。話しに花を咲かせ、笑い声がコミュニティーをつつみ1日が過ぎていきます。
さほど、お互いのことに干渉せずとも、皆フレンドリーな、この村でホームステイして、「気楽な生活」を経験させて頂くことで、自分が疑うことなく従い耐えてきた今までの日本での生活の仕方や価値が、必ずしも「正しい生活」でないことを体で感じるでしょう。それが今後の生活に新たな可能性や希望を与えてくれることを期待して、この企画を立ち上げました。皆さまと、楽しい旅ができることを願っております。

活動小学生たちが、フィリピンの農村でホームステイをすることで、井戸による洗濯はもちろんのこと、農作物をつくることや魚を獲ってくることを通して、衣食住の大切さを身近に学ぶ。

2024年8月11日

執筆者: yamba admin